大きな絵と小さな音楽

絵,音楽,ことば

「気づきの多いミーティングでした」 ほうほう 気持ちのよくなる言葉だな

この川で たくさんの言葉が拾われるのを待っています

知られているだけで だれも 通らない道 絵を渡す時に カンバスに渡す ぽんぽんがついた棒

冬場のセメントは乾きが悪い 押すとペコリをへこむ まるで生き物のようだ

コンクリートを錬る

朝 起きると空気が冷たくない 春 が きた

すこし大きな絵を描いてみようと思う 飛散する飛沫 あぐらをかいて 嗤う

どうも読み間違いが多い

頭の中が砂になったかのよう 染みわたる音はどこかにないものか

音楽がちっとも でてこなくなった 何も響かない 頭がからっぽになったよう

ひょんなことから むかしのラジオドラマ音源を知人から譲り受ける 何十年も前のドラマ...うっすらと記憶に残っているものあり 皮質の薄皮をはぐような くすぐったい気持ちになる

自宅にてささやかな新年会 喉に痛み 口をひらくと棘がささる

江戸から開業している紙屋へ 和紙を買う 手漉きのものと機械引きのものと どちらも あらかじめ膠が引かれており 描きやすそうだ

マンション中に警報が鳴り響く 廊下を跳ね返るベルの音

都会の人は歩くのが速い 人流に巻き込まれる カルマン渦にくるくると

アスファルトに息を吹きかけたような薄氷が張っている

クラシックギターは キュッキュッいって 3割増しに上手く弾けた気がするナ

ギターを弾く ピアノを弾く 絵を描く およそ そういうことの繰り返しだ 保育園で小児と大差ない

家に入る 広く 寒い 沢山の人間 声

手足が凍る 仕事始め 出勤すると すでに部屋が暖かい あとで聞いたところによると 出勤時間前に 暖房をスタッフがつけてくださったそうだ

初夢 歯が抜け落ちる夢を観た/じゃりじゃりと/舌上を転がる歯を吐き捨てる 埋め込む手術代のことを考え/ずいぶんと入り用だな/など そして また一年が 始まった

今年最後の一日 描きかけの絵を完成させよう

出張から戻ると ギターの弦が二本切れていた 4本の狂ったハガネの振動 ただならん気配 感じる不安

とぼとぼと道を歩く 道は長い 百足をみつける やぁ 百足くん ひさしぶりだね

準備は万端だ 空を見上げる キャンバスに墨をひく 目が冴える

風が強い

太陽の光が降り注ぐ 熱線が皮膚にささる研究地で 誕生日のケーキを用意していただく こんな大きなケーキは初めてだ

大風 折れた木の枝が道路に散らかる 頭が痛むのは 気圧が低いからだろうか

雨があがる幾千の鳥居踏み越えて薄暮の国へ遠く 幾千の年月繰り返し戻ることのない 「きつねのよめいり」幼虫社

変なタイトルの書物を手に取る. 「赤いゾンビ、青いゾンビ。」川上 弘美